ドライ加工とは?|革命を起こすドライアイス式冷却装置「DIPS」

現在、マシニングセンターや旋盤をはじめとする工作機械による機械部品加工の多くで、切削油剤が使用されています。
機械加工における切削油剤は、切りくずの排出・切削温度の低下・潤滑性能の確保といった重要な役割を担っています。しかし、環境保護や持続可能な製造が求められる現代において、切削油剤に大きく依存する従来の加工方法はさまざまな制約に直面しています。
さらに、切削油を使用できない特殊なワークを加工する場合には、ドライ加工による切削が不可欠です。
本記事ではドライ加工の基本、そしてドライ加工に革新をもたらすドライアイス式冷却装置「DIPS」について詳しく解説します。
Contents
切削加工におけるドライ加工とは
「ドライ加工」とは、切削油を使用せずにおこなう切削加工方法です。
これに対して、切削油を使用しておこなう切削加工方法を「ウェット加工」と呼びます。
ドライ加工の利点は、廃油処理やメンテナンスが不要であることから、環境負荷やランニングコストを抑えられる点にあります。一方で、切削効率の面では、被削材によっては潤滑性に優れたウェット加工のほうが高い加工精度や効率を発揮する場合もあります。
このように、ドライ加工とウェット加工にはそれぞれ一長一短があり、切削加工の現場では被削材の特性や加工条件に応じて、最適な加工方法を選ぶことが重要です。

ドライ加工に革命を起こすクーラントシステム「DIPS」
従来のドライ加工よりも優れた冷却を可能にする装置として、ドライアイス式冷却装置「DIPS(ディップス)」が注目されています。
「クーラントに革命を」のスローガンのもと、従来のドライ加工では難しいとされていた冷却性を格段に向上させた全く新しいクーラントシステムとして、ウェット加工を行うことができない被削材や超硬材に絶大な効果を発揮します。
DIPSとは?
ドライアイス式冷却装置「DIPS(Dry Ice Powder System)」は、ドライアイスを活用する外付け式クーラントシステムです。
液化炭酸ガスボンベからドライアイスパウダーをリアルタイムに生成しながら、それを高圧のアシストエアに乗せて加工点に直接噴射します。噴射されたドライアイスパウダーは瞬時に気化(昇華)し、体積を膨張・ガス化、局所的に酸素濃度の低い不活性化雰囲気を生み出します。
相対的な酸素濃度の減少により加工点の熱の発生、工具の酸化を同時に抑制可能で、結果として工具寿命の延長にも貢献します。

ドライ加工×ドライアイスが生み出す効果の秘訣|「DIPS」の特徴
確かな技術に裏付けされたドライアイスパウダーによる冷却性
生成された粒径約30ミクロンのドライアイスパウダーは-97.8°で加工点に噴射します。これにより従来のドライ加工に比べ抜群の「冷却性」と「切り屑除去」の作用を発揮します。
エンドミルなどの切削工具で加工した加工点は、20度前後となり、通常のドライ加工と比べても非常に冷却性に優れています。

そして噴射されたドライアイスパウダーは、大気圧化では瞬時に昇華・ガス化するため、加工点付近や加工機内に残渣物が一切発生することなく作業環境を圧倒的に改善します。また、ドライアイスパウダーにはアシストエア圧以外のパワーがなく、ワークへの影響もゼロにすることが可能で、後工程の簡略化にも大きく貢献できます。

| 比較項目 | ドライ加工 | ウェット加工 | ドライアイス式冷却装置「DIPS」 |
| 環境負荷 | 低い | 高い | 低い |
| 初期コスト | 低い | 高い | 本体設備 |
| ランニングコスト | 低い | 高い | 液化炭酸ガスのみ |
| 工具寿命 | 短い(材料による) | 長い | 長い |
| 加工精度 | やや劣る(材料による) | 良好 | 一般的なドライ加工より良好 |
| 適用材料 | 限定的(鋳鉄、アルミなど) | 広範囲 | 超硬材、カーボン材、セラミックスなど |
安定した結露対策
システムに含まれるエア・ドライヤによってエアの露点と温度をコントロールします。さらに2流体(エア+ドライアイスパウダー)を噴射する独自のノズル内構造により、急激に冷却される加工点に対し露点をマイナス40℃以下まで乾燥させ、且つ60℃近辺まで温めたエアを同時に噴射させることで急激な結露を防止します。

コンパクトなシステム設計
従来のクーラントシステムと異なるのは既存の工作機械への取り付けが容易である点です。
既存装置の大きな改造は必要なく、装置への載せ替えも簡単。今日はこの工作機械、明日は別の工作機械で、明後日は別の工場へ持って行って…と、フレキシブルに搭載する加工機を選べてしまう汎用性の高さも特徴です。

「DIPS」の製品仕様
【DIPS10-1SA】


| 装置寸法 | メインユニット:149(W)*200(D)*430(H)mm 制御ユニット:330(W)*149(D)*200(H)mm |
| 装置重量 | メインユニット:6.5kg 制御ユニット:4.5kg |
| 噴射ノズル | 1本(噴射幅:Φ6mmスポット) |
| 混合ホース | 1本・長さ2m(最大3mまでオプション対応) |
| 噴射圧力 | 0.45Mpa(最大)常用0.35Mpa |
| 粒子大きさ | 約5~30um |
| 冷却媒体 | 液化炭酸ガス |
| 液化炭酸ガス流量 | 0.25kg/min(最大)6Mpa(常用・ボンベ内充填内圧) |
| ガス供給方式 | 液化炭酸ガスボンベ(サイフォン管式必須) |
| 供給電源 | AC100V(2口) |
| 設置環境条件 | 直射日光の当たらない室温28℃以下の環境 通気性のある場所で、室外へ排気のできる環境 |
ドライ加工に革命を|「DIPS」のお問い合わせなら
テクトレージ本社ショールームでは、「DIPS」を使用した加工を実際にご覧いただけます。
また、お客様先でのデモンストレーションも承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
ドライアイスを用いた、これまでにない全く新しいクーラント装置による加工技術を、ぜひ一度ご体感ください。

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