「つかむ」と「測る」を1つに集約したロボットハンド「NPL_S」シリーズ

北川鉄工所が提供するロボットハンド「NPL_S」シリーズ。切粉や粉塵、クーラントや洗浄など厳しい工場環境下でも安心して使用できる防塵・防水仕様の「シールドグリッパ」です。

薄型2爪タイプのロボットハンド「NPL」シリーズに分類される製品ですが、名前の後ろにSが付く「NPL_S」シリーズはロボットハンドの中にスケールが内蔵されており、掴んだワークの寸法測定が可能なタイプとなっています。チャックで培われた「ものを把握する」技術を活かして開発された同社のロボットハンドシリーズから、今回はシールドグリッパ「NPL_S」をレビューします。

特徴

密封構造の防塵・防水仕様

「NPL_S」シリーズの防塵・防水性能は安心の「IP67」規格。切粉や粉塵の侵入を防ぎ、クーラントや洗浄水等がかかってもロボットハンド本体への侵入をシャットアウト。厳しい工場環境下においても安心して使用できます。

把持部の寸法測定が可能

他社製ロボットハンドにも測定機能を持った製品はありますが、そのほとんどがロボットハンドの中にあるピストンの動きを見て測定しています。一方、「NPL_S」シリーズではジョーの動きをスケールによってダイレクトに見ているため測定誤差が少なく、高精度な測定が可能です。

測定方法は相対値測定を採用。基準となるマスターワークの測定値に対して、実際の測定対象ワークが相対的にどれくらいズレているかを見ています。

ロボットハンドのジョーは、現場のレイアウトやワーク形状によって様々な形状が考えられます。さらに、どの位置でジョーがワークを掴むかによっても測定値は変わります。例えばジョーの先端でワークを掴んだ場合、先端で掴んだなりのたわみが生じますが、ロボットであれば常に同じ位置で継続して掴むことができ、安定した測定値が得られます。このような理由から相対値測定が採用されています。

測定精度も±2ミクロンのため、一般的な旋削加工後のワーク検査にも活用できます。ノギス等を使って人の手で測定する場合はどうしても力の加減などによる測定誤差が生じますが、自動で掴むロボットハンドでは力加減による誤差は生じません。

高いメンテナンス性

他社製ロボットハンドはメンテナンスの際、一度ロボットから取り外さないと分解洗浄ができないものが多いのですが、「NPL_S」シリーズはロボットに付けたままマスタージョーなどが取り外せる構造になっており、ロボットに取り付けたままの状態で分解洗浄が可能です。

ロボットハンドを運用する際は、マスタージョーがスライドする摺動面に細かい切粉が侵入するケースも多いため、メンテナンスのしやすさは非常に重要なポイントです。                                        

PRポイント

全数検査を可能に

ロボットハンドとして搬送と測定を同時に行えるため、全数検査が可能になりました。例えば、今まで抜き取り検査で対応していた製品を容易に全数検査に切り替えることが可能です。全数検査によって得られた測定データを分析し、加工現場にフィードバックするなどさまざまな活用方法が考えられます。