西部電機株式会社|超高精度自由形状内面研削盤 「SFGシリーズ」

西部電機が提供する、高精密自由形状内面研削盤「SFGシリーズ」。
切削と研削の機能を集約したハイブリッド内面研削盤である本機は、工具計測や刃先検知の段取りから切削や研削による加工、そして機内での計測までの一連の工程を1台で完結。シリーズ独自のハイブリッド工法が加工時間を大幅に削減するだけでなく、手作業による磨き工程や測定作業を機械に置き換えることで製造効率を飛躍的に向上させます。
西部電機の伝統技術である”きさげ”加工が施され、ユーザーが求める高精度な工作機械に仕上がった高精密自由形状内面研削盤「SFGシリーズ」を今回レビューします。
Contents
特徴
西部電機の自由形状内面研削盤「SFGシリーズ」|ラインナップ
「SFGシリーズ」は3種類のラインナップを取り揃え、切削・研削加工ユーザーが求める高精度な研削盤を提供しています。
ラインナップは、高精度で6インチ仕様のワークまでの加工を可能とする研削盤「SFG-35HP」、高精度を実現する機械構造はそのままに、ハイコストパフォーマンスを実現するモデル「SFG-35P」、そして汎用円筒研削盤の精度の約1/10である0.1μmレベルの加工を実現する「SFG-28HP」の3機種が展開されています。



【基本仕様】
仕様 | SFG-35HP | SFG-35P | SFG-28HP |
標準チャック | 6インチ | 6インチ | 4インチ |
最大把握ワークサイズ(㎜) | Φ150×L150 | Φ150×L150 | φ80×L50 |
X,Z軸最大移動距離(㎜) | 350×220 | 350×220 | 300×180 |
早送り速度(X,Z軸)(㎜/min) | 4,000 | 4,000 | 4,000 |
最小設定単位(X軸は直径)(μm) | 0.01 | 0.01 | 0.01 |
スケール(X,Z軸)(μm) | 0.01 | 0.01(オプション) | 0.01 |
スライド上面よりの芯高(㎜) | 105 | 105 | 105 |
最高主軸回転数(min-1) | 3,000 | 3,000 | 3,000 |
主軸貫通穴径(㎜) | Φ32 | Φ32 | Φ20 |
主軸駆動 | ビルトイン | ビルトイン | ビルトイン |
主電動機(kW) | ACスピンドルモータ 2.2/3.7(連続/30分定格) | ACスピンドルモータ 2.2/3.7(連続/30分定格) | ACスピンドルモータ 1.5/2.2(連続/15分定格) |
主軸C軸 | 位置制御のみ(同期制御はオプション) | 位置制御のみ(同期制御はオプション) | 位置制御のみ(同期制御はオプション) |
床面より主軸中心までの高さ(㎜) | 1,100 | 1,100 | 1,100 |
外形寸法(W×D×H) | 1,690×1,980×1,776 | 1,690×1,980×1,756 | 1,684×1,870×1,776 |
機械質量(制御盤を含む)(kg) | 2,500 | 2,500 | 2,200 |
タンク容量(L) | 270or370(オプション) | 270 | 270or370(オプション) |
本体タンク(L) | 120 | 150 | 120 |
恒温装置(L) | 150or250(オプション) | 120 | 150or250(オプション) |
西部電機の自由形状内面研削盤「SFGシリーズ」|高精度加工を支える伝統の技❝きさげ❞
「SFGシリーズ」は超高精度を継続して維持するため、機内の部品に”きさげ”加工を施す平面仕上げを採用しています。
“きさげ”とは、手作業で金属の表面をわずかに削り取る仕上げ技術で、一枚刃の工具を使用して「押す」または「引っ搔く」ことで高い精度の面を創りだすことができる手法です。”きさげ”加工は古くからある金属加工法の一つであり、職人による手作業で機械加工よりも精密な平面度を実現できることから、高精度の工作機械製造には不可欠な技術です。
”きさげ”加工を施していない通常の機械加工によって製造された部品同士を締結する場合、締結部品同士の平面精度が出ていなくとも、ボルト締めなどで強制的に面合わせをすることは可能です。しかし、面合わせ箇所にストレスが掛かり続け、徐々に変形して歪むことで初期精度の悪化を招く原因となります。
それに比べて、”きさげ”加工を施し平面精度を高めた締結部品を合わせた場合は、部品同士にかかるストレスを最小限に抑えることができ、無理なく面合わせを行うことが可能になります。これにより「SFGシリーズ」が持つ高い精度を長期間維持することが可能です。

また、”きさげ”加工には摺動面の精度を高めて潤滑保護をする役割も担っています。摺動面の動作精度は高精度を誇る研削盤にとって重要な要素の一つです。
研削盤に取り付けられた部品面は平滑であるほど精度が向上しますが、平滑であるがゆえにリンギング現象によって粘着力が発生し、平滑面が密着してしまうといった問題につながります。
しかし、きさげ加工を施すことで平滑度を意図的に調整でき、潤滑油が溜まる「油だまり」を作りだすことが可能となります。油だまりがリンギング現象による問題を改善し、潤滑性を向上させるとともに、平滑面の密着を防ぐことで摺動面の保護を実現しています。

西部電機の自由形状内面研削盤「SFGシリーズ」|制御装置Smart NC
21.5インチの大画面マルチタッチパネルを備えた「Smart NC」は、見やすいグラフィックとスマートフォン感覚の操作インターフェイスで構成。画面デザインは操作体系を意識した専用画面に仕上げ、使いやすさを追求。対話式プラグラム作成機能を標準搭載したことでプログラム作成にも対応しています。
対話式プログラム作成機能は、対話するように指定された項目に沿って加工形状と終点座標を入力することで簡単に加工プログラムを作成可能。CAD/CAMを所持していないユーザーも機械導入と同時に加工プログラムを作成する環境を整えることができます。操作面においても数値などの情報を入力する毎に、リアルタイムで形状のグラフィックが表示されるため、入力ミスをした場合にも形状から素早く判断することができケアレスミスを防ぎます。さらに登録した工具もグラフィック上に表示されるため、干渉チェック等の確認作業も同時に行うことが可能です。

またオプションであるDXFデータ読み込み機能を使用すれば、外部で作成したDXFデータを読み込み、それを基に加工プログラムを自動で作成することも可能。交点情報や形状などの詳細情報を入力する手間と時間を省略でき、加工経験の浅い方でも簡単かつ短時間で加工プログラムの作成が行えます。

そのほか稼働状況通知機能 SS-LiLink(オプション)と併せて使用すれば、機械加工中の進捗状況をスマートフォンやタブレット、PCなどでいつでも確認することができます。
西部電機の自由形状内面研削盤「SFGシリーズ」|加工サンプル紹介
「SFGシリーズ」を使用した加工サンプルをご紹介します。
加工機種:「SFG-35HP」
【医療用(注射器)サンプル】
材料:SKH51(HRC58) 素材:Φ6.5×130㎜ 加工長:32㎜ 面粗さ:Ra0.05μm Rz0.35μm 加工時間:2.5時間

【内径研削サンプル】
材料:超硬(G5) 素材内径:Φ8~Φ14×50㎜ 素材:Φ50×36㎜ 面粗さ:Ra0.02μm Rz0.15μm 加工時間:2.0時間

加工機種:「SFG-28HP」
【一般金型用(プラスチック金型)サンプル】
材料:SKH51(HRC60) 素材:Φ4、Φ6 加工長:12㎜ 面粗さ:Ra0.05μm Rz0.30μm 加工時間:0.5時間

PRポイント
作業レス化に貢献する連続加工機能
加工工程における荒加工から仕上げ加工までを工程ごとに寸法測定をしながら管理し、最終的に図面完成寸法までの製品製造を自動化する同一ワーク連続加工機能「P-Connect」。
従来の「SFGシリーズ」での加工と「P-Connect」機能を使用した加工を比較した工程数削減の例では、トータルの加工時間が従来加工144分に対して、「P-Connect」84分と加工時間を38%削減しています。
各工程の内訳は、従来のSFGシリーズによる加工ではオペレータによる操作時間が85分、実際に機械で加工する時間が59分となっており、「P-Connect」による加工ではオペレータの操作時間が5分、機械加工時間が84分となっています。
「P-Connect」機能での加工は、加工途中に指定した回数の測定を挟むため機械加工自体の時間は伸びているものの、オペレータによる作業時間を大幅に短縮できるためトータルの加工時間が削減されています。

「P-Connect」では、加工工程を最大5つまで登録可能。さらに各工程に対しても最大5つまで登録することができ、指定した寸法まで正確に加工することが可能となります。測定の設定も「公差OK範囲」と「追加工範囲」を各測定ごとに設定するだけと非常にシンプルな入力操作で扱うことができます。

高精度加工を極める技術
同社は高精度な工作機械を提供するメーカーとしてのプライドを賭けて、工作機械の性能や精度を極限まで高める工夫を多く凝らしています。
工作機械本体のベースは、FEM解析によりねじり剛性をUPした設計となっており、駆動部にはダブテイル型スライドを採用。高剛性かつ微小なうねりをなくし、長期的な精度維持を実現しています。
またリニアスケールによるフルクローズド制御と高速高精度サーボ制御の採用により、本体構成は完全な熱対象構造になるように設計。さらに各部に特殊熱伝達防止対策とクーラント冷却による機械本体の温度制御によって、機械を起動させてすぐの加工においても安定した寸法を確保します。スライド部は、特殊潤滑油吐出方式により、摺動抵抗を極限まで抑えており、0.1μmの微細な指令に対しても追従が可能です。
「ねらいどおり」の高精密な加工をサポートする機内測定装備
同社は、「ねらいどおり」の高精度加工をサポートする多彩な測定システムオプションを取り揃えています。
研削加工を行う際、砥石のコーナーR値の把握は必要です。そのコーナーRの測定を可能にするオプションが機内設置用CCDカメラです。
機内に設置したCCDカメラで砥石先端を撮影することで、自動でエッジを検出しコーナーRの測定が可能。さらに測定の結果は制御装置Smart NCに工具情報として登録できるため工具管理も非常に簡単に行うことができます。

機内測定システムは、加工後にワークのテーパーやストレート形状を内外径ともに測定することができ、厳しい公差の寸法管理も容易に行うことができます。測定項目には様々な項目を取り揃え、多種多様なワーク形状に対応することが可能。そしてそのパラメータや測定結果はデータベースで管理することもできます。測定操作はSmartNCに表示される機内測定専用画面でパラメータの設定を行うだけですぐに測定を開始することができ、パラメータの入力も図解で非常にわかりやすく操作も簡単です。

切削と研削の機能を1台に集約した高精度なハイブリッド加工と”きさげ加工”によって高精度かつ効率的な製品製造を長期的に維持する超高精度自由形状内面研削盤「SFGシリーズ」。
ユーザービリティに優れた制御システムはベテランから初心者まで誰もが直感的に扱うことができ、さらに使いやすさを支える豊富なオプションが超精密のものづくりを強力にサポートします。
高精度な内面研削盤をご検討の際は、ぜひ西部電機の「SFGシリーズ」をチェックしてみてください。