【エントリーモデル】リニアモータ駆動のワイヤ放電加工機 「VNシリーズ」

ソディックが提供する、リニアモータ駆動高速ワイヤ放電加工機「VNシリーズ」。
「VN400Q」と「VN600Q」の2機種をラインナップした本機は、ユーザービリティに優れたエントリーモデルとして医療・航空産業などの精密部品加工や金型加工の現場で高精度な加工をサポートします。
今回は「VNシリーズ」の魅力をレビューします。
Contents
特徴
VNシリーズ製品ラインナップ
VNシリーズは、「VN400Q」と「VN600Q」の2種類をラインナップ。設置スペースや加工するワークサイズに適した選定が可能です。


VN400Q | VN600Q | |
機械取付寸法(幅×奥行×高さ) ※機械、電源、サービスタンク含む | 標準配置: 2070×2920×2135㎜ 省スペース配置: 2070×2700×2135㎜ | 標準配置: 2625×3290×2245㎜ 省スペース配置: 2625×3070×2245㎜ |
機械据付寸法(幅×奥行) | 標準配置:2750×3785㎜ 省スペース配置:2750×3565㎜ | 標準配置:3355×4140㎜ 省スペース配置:3355×3920 ㎜ |
機械本体質量(電源を含む) | 2920 kg | 3350 kg |
X軸ストローク | 400㎜ | 600㎜ |
Y軸ストローク | 300㎜ | 400㎜ |
X軸ストローク | 230㎜ | 310㎜ |
U軸×V軸ストローク | 90×90㎜ | 90×90㎜ |
最大加工寸法(幅×奥行×高さ) | 噴流加工時:830×700×225㎜ 浸浸加工時:830×700×215㎜ | 噴流加工時:1100×820×305㎜ 浸浸加工時:1100×820×295㎜ |
最大加工物質量 | 500kg | 850kg |
リニアモータ駆動方式
「VNシリーズ」には、X・Y・U・Vの4軸に対応する高速かつ高精度なリニアモータを搭載。
稼働時に機械的な接触がないシンプルな構造を採用しているため、摩耗や劣化による消耗が発生しません。そのためボールねじ駆動方式のように定期的な交換が不要となっており、高い安定性と変わらない加工品質を提供します。

ボールねじの摩耗に起因する機械精度を検証した結果、導入当初と10年後の機械を比較して動的な機械精度の低下が10年後も発生しておらず、メンテナンスフリーで初期精度を維持できることが立証されています。

また、一般的な工作機械の駆動軸で利用される「ボールねじ駆動方式」では、駆動方向が反転し逆方向へ駆動が切り替わる際、クリアランスがあるため若干の遅れが生じてしまいます。この現象をバックラッシュと呼びますが、同社の提供するリニアモータ駆動方式は機械的な接触がない非接触駆動のため、永年にわたりバックラッシュが発生することがありません。
セラミックを採用した加工エリア
VNシリーズは、ワークスタンドやワイヤーテンション部のブーリー、ワイヤー排出の巻取りローラー等にセラミックが採用されています。
セラミックの極めて高い絶縁性によって、電極・加工物以外への放電エネルギーの分散を防ぎ、加工面をより高品質に仕上げています。さらに鋳鉄の約1/2程の重量となるため、機械本体の軽量化も実現。モーターの負担を軽減し、省エネルギーでの稼働を可能にしています。
加えて、内部応力が非常に小さく吸水性がないというセラミックの特徴により、長期にわたり機内状態を維持する安定性も持ち合わせています。

PRポイント
ユーザービリティに優れたポイント
「VNシリーズ」はエントリーモデルのワイヤ放電加工機の位置づけとして、誰でも簡単に使用できるコンセプトのもと、ユーザー目線の特色を多く兼ね備えています。
加工エリアへのアクセスは、X軸をテーブル移動、Y軸をコラム移動にしたことで加工槽手前でのワーク平行出しが可能になり作業性が向上。さらに加工槽の扉は上面がワークスタンドから約60㎜稼働するため、ハンドリフトを用いたワーク搬入出時においても、ワークスタンドへの接近が可能となっています。


ワークを設置するスタンドは口の字型を採用。ワークを搭載しやすいだけでなく、メンテナンス時にワークの下からも作業を行うことが可能です。
スライドプレートクリーニングの機能はスラッジの固着防止やメンテナンス時間の短縮を図ることができ、3連式フィルタはフィルタの枚数を増やすことで交換頻度を低減させ、長時間の連続稼働を実現しています。さらに本体のフロントに取り付けられたLEDシグナルは、赤・青・緑のランプ発光で一目見るだけで稼働状況を確認することができるなど、ユーザーが求める機能を多く備えています。
数値制御電源装置「LN3W・LP3W」
同社が提供するワイヤ放電加工機には独自の数値制御電源装置「LN3W・LP3W」が採用されており、部品加工に有効なRz10μm以下の加工面粗さを最小の仕上げ回数で得られる加工条件を搭載しています。

さらに「LN3W」に標準、「LP3W」にはオプション(JAPAN PACKAGEは標準)で搭載される「Heart NC(ハート エヌシー)」によって、制御機上で2次元のプログラム作成を行うことが可能。
上下異形状やインボリュート歯車、コアレス形状、自由曲線などのプログラムが作成することができ、加工条件もワイヤ径やワーク材質、板厚などの項目を選択するだけと非常に簡単に条件設定を行うことができます。また同社が提供する加工条件のデータベースのほか、お客様自身が独自の条件を登録できるユーザー・データベースも備えています。
外部で作成したDXF形式のCADデータの読み込みにも対応しているので、既存のCAD設備と連動した運用も可能になります。

その他にも、「LN3W・LP3W」は加工液ノズルの液処理性能がアップしたことで浮き加工速度がVLシリーズと比較して5~15%向上させる効果をもたらします。より短時間での加工を可能にすることで、生産性向上をサポートします。
豊富なオプション
VNシリーズは、豊富なオプションを取り揃えることで加工現場を強力にサポートします。
「サビレス」は、加工中のワークに発生する錆・腐食・着色を抑制するオプションです。電気的作用と化学的作用を組み合わせることで、鉄系材料はもちろん、超硬合金材にも高い効果を発揮します。


「ジャンボフィーダ」は、ワイヤーボビンの交換頻度を大幅に低減するオプションです。
標準仕様では8kgまでのワイヤーボビンに対応していますが、「ジャンボフィーダ」を装着することで、20kg・30kg・50kg巻の大型ボビンを簡単かつ安全に取り付けることが可能になります。
多数個取りや長時間の連続加工、難削材の加工といった場面で、高い生産効率を実現します。

ワイヤ放電加工機のエントリー機にはリニアモータ駆動高速ワイヤ放電加工機「VNシリーズ」。
ユーザービリティに優れた設計により、作業者の負担を軽減し、扱いやすさを実現。加工精度はもちろんのこと、安定した稼働を可能にする高い機能性がエントリーモデルの枠を超えたワイヤ放電加工機に仕上がっています。長期的な稼働を見据えたエントリーモデルのワイヤ放電加工機をお探しの際は、ぜひチェックしてみてください。