中村留精密工業が提供する「WY-100V」。「最速の、その先へ。」をコンセプトに開発されたマルチタレット複合加工機の新シリーズです。「Velocity（速さ）」を意味するVの文字が刻まれた本機種は、数多くの新技術によってユーザーの想像を大きく超える加工スピードを実現しています。

前身となる「WY-100Ⅱ」の登場から7年の時を経てフルモデルチェンジされた最新機種「WY-100V」を今回はレビューします。

特徴

サイクルタイムの大幅短縮を可能にした新技術「クロノカット」

「WY-100V」には、最大30％のサイクルタイム短縮を実現するための新技術が多数搭載されています。このうち、新技術の「クロノカット」は『無駄な動作、無駄な時間を切り取る』ために同社が開発した注目の制御技術です。

「クロノカット」は制御ソフトウェアに同社独自の制御技術を盛り込むことによって、C軸の位置決め動作やワークの受け渡し動作といった加工時以外のあらゆる動作を高速化。加工中のアイドルタイムを大幅に短縮することを可能としています。しかも、「クロノカット」使用時でも加工条件が変わることはないため、 精度面への影響もゼロです。

高速化を実現するその他の秘密

「WY-100V」では「クロノカット」以外にもサイクルタイムを30%短縮する秘密があります。まず、機械の加減速は20％向上し、工具を割り出してからワークにアプローチする時間を大幅に短縮。工具から工具への切り替わり時間もコンマ7秒とこちらも非常に高速です。ミーリング軸には最大10,000回転の高回転主軸を搭載し、加工時間のスピードアップを図っています。

また、「多品種のワークを加工する複合加工機にとって、コンパクトなタレットはマスト」という設計思想から、搭載されているタレットのサイズも非常にコンパクト。対応できるワークのサイズや種類が広がると同時に、ワークへの高い接近性を実現しています。

高回転のミーリングとコンパクトなタレット、2つのコンビネーションによって、メカ的にも高速化を実現する工夫が随所に盛り込まれているというわけです。

この他にもグリス潤滑タイプの採用によって給油回数が大幅に削減され、機械の稼働時間が改善しています。同時にオイルの消費量も削減されるため、環境にも配慮した設計となっています。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

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サイクルタイムの短縮と高精度を両立

「WY-100V」は加工スピードだけでなく精度面にもこだわった機械となっています。フレームを含めた機械構造は新規に設計されており、一部のパーツには新素材を採用。これによりメカ的に熱変位の影響を受けにくい構造を実現しています。さらに、​新開発の熱変位補正ソフトウェア「NT サーモナビゲーター」が機械全体の温度情報を管理し、効率的な熱変位補正を行います。ハードウェアとソフトウェアの技術が融合することで、長時間稼働時でも高精度な加工が可能となっています。

2スピンドル2タレットのマルチタレット型複合加工機「WY-100V」。加工スピードの向上と高精度加工を両立させ、コンセプトである「最速の、その先へ。」を具現化した1台です。サイクルタイムの短縮はオペレーターの負担軽減や製造コスト削減、さらに突発的な増産オーダーにも余裕を持って対応できます。

現場の負担を削り、ものづくりに携わるすべての人に余裕をもたらす複合加工機と言えるのではないでしょうか。中村留精密工業の「WY-100V」、是非チェックしてみてください。