高精度ボーリング工具「D’ANDREA(ダンドリア)」

D’ANDREA(ダンドリア)は、イタリア発の高精度ボーリング工具・工具システムメーカーです。

精密機械加工、特にボーリング・内外径旋削・フェーシングといった高い寸法精度が求められる領域において、長年にわたり世界中の加工現場から支持を集めてきました。

今回は、D’ANDREAボーリング工具の魅力をレビューします。

特徴

高剛性モジュラーシステム「MHD’(モジュラー・ヘッド・ダンドリア)」

D’ANDREAの工具システムの根幹をなすのが、モジュラータイプの工具ホルダー「MHD’」および「PSC」シリーズです。

本システムの特徴は、内側から開くラジアルピンによる結合構造にあります。ピンが径方向に広がりながら工具を固定するため、結合部の剛性と求心性が非常に高くなっています。この構造により、コレットチャック・ミーリングチャック・タップコレットなど多様なツーリングレイアウトへの変換が1台のシステムで可能となっており、あらゆる加工ニーズにも柔軟な対応が可能です。

レンチ一本で拡張ラジアルピンが両サイドに内側から開き、ヘッドを引き込む構造

工具はハード処理されたスチール製で、高トルク・高速回転にも対応。DIN/MAS/HSKなど各種スピンドルインターフェース規格に適合しており、既存の設備環境にそのまま導入できる点も大きなメリットです。

また、MHD’超硬バー仕様では工具長さ比L/D=10まで安全に組み合わせが可能で、深穴加工においても高い剛性を維持できます。

大径ボーリング専用システム「BHT(PAT)」

φ250からφ1000という大径ボーリングに対応するのが「BHTシステム」です。

結合部には独自のポリゴンシャンク構造「PAT」を採用。内側ドローボルトで締め上げる二面拘束構造により、大径加工時の切削力に対しても高い剛性を確保しています。欧州市場では既に豊富な実績を持つボーリングシステムで、大径・重切削の現場における信頼性は実証済みです。

仕上げ用「BHTシステム」は後述の「テスタロッサ TRM63」と兼用で使用可能。エクステンションやリダクションアダプターを活用することで外径旋削用へのレイアウト変更にも対応しており、1台のシステムで内外径の双方をカバーできます。

精密仕上げボーリングヘッド「テスタロッサ」

寸法精度への要求が特に厳しい仕上げ加工に対応するのが、仕上げ用ボーリングヘッド「テスタロッサ」シリーズです。

IT6級公差の加工精度と優れた表面仕上げを実現しており、半径における1μmの調整感度はノギスで読み取れるため、機械上でもそのまま調整作業が行えます。ラインナップはTRM16からTRM80/125まで製品別に揃っており、加工径や用途に応じて選択できます。なかでもTRM50ヘッドはφ2.5からφ140まで対応し、幅広い内径の仕上げ加工をカバーします。

さらに、最大の特長である「マイクロメーター2μ(0.002mm)調整機構」により、加工径をきわめて細かく制御できます。「2μ単位で径を変えられる」という感覚は、精度保証が求められる部品加工に従事されている方であれば、その意味するところが即座に伝わるはずです。

また、TRM50をベースにチップ・アダプター類を一式パッケージ化した「テスタロッサ50キット(KIT K01 TRM50)」も用意されています。キットの対応径はφ6からφ140で、1セットで多様な内径仕上げ加工に即座に対応できます(ヘッドはΦ2.5~Φ140まで対応)。工具を個別に揃える手間なくすぐに使い始められる点は、現場の段取り効率向上に直結します。

PRポイント

MHD’カップリング構造

MHD’カップリング構造の核心は、「円筒形と円錐形を組み合わせたカップリング接続による、内側から外側へ作動する拡大ロックピン方式」にあります。

ロックピンが内側から外側へ向かって拡大しながら締結するこの機構により、単純な締め付けでは実現できない高い結合クランプ力とトルク伝達性能を発揮します。結合面は円筒と円錐の二形状が組み合わさることで接触面積が最大化され、「より高い剛性・より高い結合クランプ力・より高いトルク・求心性高精度」という4つの性能が同時に保証される設計となっています。

このカップリング構造により突き出し長さはL/D=6.3、超硬バー仕様ではL/D=10まで対応しています。

高剛性な結合と多彩なツーリングレイアウト

D’ANDREAのボーリング工具は高剛性なMHD’結合、そして小径φ2.5から大径φ1000という広大な加工径レンジに対応し、多彩なツーリングを提供します。

「加工する径や深さによってツーリングの種類を使い分けなければならない」という現場の手間を、D’ANDREAの製品群はすべて解決してくれます。

対応径の広さは単なるカタログスペックにとどまりません。モジュラー設計により工具を組み合わせて使えるため、「ある径には対応しているが、その延長線上の加工には別の工具が必要」という事態が生じにくい設計になっています。

2μ調整機構を搭載。職人の感覚を数値に置き換える

内径仕上げ加工における寸法管理の難しさは、加工経験のある方であれば実感としてお持ちのことと思います。

わずかな調整のつもりが大きな誤差になり、手戻りが発生する——。そうした現場の苦労を、テスタロッサの2μ調整機構は数値として制御可能な領域に引き込みます。

マイクロメーター機構による微調整は再現性が高く、段取り替えのたびに径を一から確認し直す必要がありません。この「調整の確実性」が、品質安定と段取り時間の短縮に直結します。

モジュラー設計がもたらす工具資産の最大活用

「MHDシステム」の核心は、1つの工具ホルダーから多様なツーリングレイアウトへ展開できる柔軟性にあります。

コレットチャック・ミーリングチャック・タップコレットなど、必要な機能に応じてヘッドを交換するだけで対応できるため、新たな加工要求が生じるたびに工具一式を揃え直す必要がありません。工具コストの抑制に直結するとともに、工具在庫の管理負荷を下げる効果も期待できます。

他社では対応が難しい複雑な加工要求に応じられるのも、このモジュラー設計が基盤にあるからです。

まとめ

D’ANDREAのボーリング工具は、「高剛性・精密性・モジュラー設計」という3つの軸を一体として実現している点に最大の特徴があります。

特に複雑形状や高精度要求のある内外径加工でお困りの際は、ぜひチェックしてみてください。