工具の振れゼロ⁉非接触測定の最高峰「ダイナゼロシステム」

大昭和精機が提供する、画像処理方式による非接触工具位置測定システム「ダイナゼロシステム」。

進化した工具位置測定はストロボ効果を利用した新測定方法により、高速回転中の振れを非接触で測定することが可能。超精密加工における精度向上や、精密金型加工の研磨工程削減などの場面で大きな効果を発揮します。

第48回発明大賞の日刊工業新聞社賞を受賞し、日本が誇るモノづくりの技術力に新たな価値を生み出した「ダイナゼロシステム」の魅力を今回レビューします。

特徴

ダイナゼロビジョンとは

「ダイナゼロシステム」の根幹は、非接触で工具位置測定をおこなう「Dyna ZERO Vision(ダイナゼロビジョン)」です。「Dyna ZERO Vision」をマシニングセンタのテーブルに設置することで、主軸に取り付けた工具の振れや工具長、工具径を測定することができます。

本体に搭載された高性能CMOSカメラが非接触の工具測定を実現。
レーザー測定とは異なり、カメラで直接測定するため測定誤差が少ないだけでなく、なんと工具の表面観測をも可能にしています。

測定精度を確かなものにするため、エア噴射ノズルも搭載。噴射されたエアが工具に付着したクーラントなどの不純物を取り除き、高品質な測定を実現します。

マシニングセンタに取り付けの際は、「Dyna ZERO Vision」本体、制御用PC、コントローラーを各種ケーブルで接続します。またエア噴射ノズルを使用するため、エア機器との接続も必要です。

計測結果は液晶モニターに映し出され、リアルタイムで測定結果を確認することができます。測定結果を記録する履歴機能も完備しており、過去の測定結果を後からチェックすることも可能です。

ストロボ測定

ストロボ測定とは、静止画像が高速で切り替わることで動きが遅く見えるストロボ効果を利用し、機械主軸の1回転信号を取得する測定方法です。高性能CMOSカメラの撮像タイミングを制御することで、高速回転中の工具を疑似的にスローモーションで撮影。工具(主軸)回転1°毎の撮影を可能にしています。

このストロボ効果を応用した測定は刃数最大12枚刃、周速はMAX400m/minの条件に対応しており、最高12万回転の高速回転でも刃毎の振れを測定します。奇数刃工具や不等ピッチ工具であっても、工具径方向・工具長方向からの動的な振れを測定することができます。

「Dyna ZERO Vision」のストロボ測定がドリルやエンドミルの刃先カケ、チップの取付け不良を検出し、加工不良を未然に防ぎます。

ダイナゼロチャック

ストロボ測定によって得られた動的振れ精度のデータは、同社が提供する振れ調整ホルダー「ダイナゼロチャック」と組み合わせることで測定後の動的振れを調整可能にし、加工中の刃先振れ量1μm以下を実現します。

刃振れの調整は刃毎にどれくらいの振れが生じているのかをチェックするために、機械主軸の1回転信号を取得する必要があります。振れを確認した後は、専用トルクドライバーで調整するだけ。測定後に刃先の振れが生じていた箇所を即座に修正することができます。

PRポイント

ツーリングの振れ0(ゼロ)を実現

「Dyna ZERO Vision」では、測定した結果に応じて微調整を加えることができます。

測定結果の画面には番号ごとの動的振れ量と振れ方向が表示され、どの番号の位置で振れが発生しているかを確認できます。表示される番号はホルダーに刻印されている番号と一致しており、振れが発生している番号のスクリューを専用のトルクドライバーで調整するだけで、確実に振れ0(ゼロ)のツーリングをセッティングすることができます。

初回の測定結果
調整後の測定結果

初回の測定では3番のスクリューに2.3μmの振れ量(青線)が発生していますが、調整後の測定では0.1μmの振れ量(赤線)に収まっていることが確認できます。

加工事例

45°傾斜させた被削材をR0.5 PCD ボールエンドミルで加工し、動的振れ量3.1μmと0.7μmに調整した2つの条件で表面粗さの比較を行った際の検証結果です。

結果は動的振れ量0.7μmのボールエンドミルで面品位が向上、表面粗さは動的振れ量3.1μmが16.7nmに対して、0.7μmは8.9nmと約47%も表面粗さが改善したという結果になりました。

Dyna ZERO VISION ポータブル

「Dyna ZERO Vision」は工作機械を新規購入する際のオプションとして機械メーカーに依頼することで、機械側との通信が可能な状態で使用することができます。

もしも既存の機械で「Dyna ZERO Vision」を使用したい場合には、ポータブルタイプの「Dyna ZERO Vision ポータブル」がオススメです。機械通信に対応しておらず測定データは手動で機械側に入力する必要がありますが、カメラヘッドが軽量かつコンパクトになっており、ほとんどの「Dyna ZERO Vision」の機能を使用することが可能です。

またクランプユニットの活用で複数の機械への取付け・取外しがワンアクションで行えることもポイントです。

「Dyna ZERO Vision」と「ダイナゼロチャック」を組み合わせることで工具の振れ精度0(ゼロ)を実現するツーリングシステム「ダイナゼロシステム」。

刃振れなどの測定結果のプロファイリングにより、1μm単位の微細な切り込みを実現する本製品。高精度な鏡面加工を高い再現性で実現できること間違いなしです。微細加工や精密金型加工の品質向上にお悩みの際は、ぜひ本製品をチェックしてみてください。