【消火システム用】クローズインペラの製造|金属3Dプリンター「Meltio」

重要なインフラ設備において、ダウンタイムは決して許されません。特に火災時に動作するシステムでは、クローズインペラをはじめとする部品の正常な稼働が常に求められます。

しかし、このクローズインペラの製造は、現場にとって大きなボトルネックとなっています。

その理由が、『鋳造青銅は調達に時間がかかり、さらに摩耗が早い——』という特性にあります。

そこで導き出された解決策が、Meltioによる新たな製造方法の開発です。

今回は、Meltio社が提供する「Meltio Robot Cell」を使用した事例についてご紹介します。

●金属3Dプリンター「Meltio Robot Cell」

プロジェクトの概要

  • システム:Meltio Engine Robot
  • 製造部品:クローズインペラ
  • 分野:海軍関係
  • 素材:ステンレス316L
  • 造形時間:85時間

消火システムが抱えるインペラの課題

消火システムが作動すると、インペラは停止状態から数秒でフルスピードへと加速します。この急激な起動は、システム全体に大きなトルクを発生させ、各部品に高い負荷をかけることになります。

さらに稼働中は、振動・流体による浸食・腐食・摩耗といった要因が常に部品を劣化させる原因となります。

『壊れるかどうか』ではなく、『いつ壊れるか』が問題でした。

鋳造からアディティブへ:解決策は「Meltio」

従来、このクローズインペラは鋳造青銅で製造されており、強度はあるものの現代の製造プロセスにおいては、理想的とは言いづらい現状でした。そこで製造プロセスにMeltioの指向性エネルギー堆積(DED)技術を採用し、素材をステンレススチール316Lへと変更しました。

これにより、耐食性の向上と疲労強度の改善を実現しました。

加えて、クローズインペラの設計を3Dプリンティング用に最適化し、『Radial 360ツールパス』を適用することで迅速な製造を可能にしました。

また、鋳造型も不要になり、調達遅延の発生しない柔軟な製造へと移行しています。

2段階製造で精度を最大化

しかし、当初の造形では、複雑な構造を加工する際に課題がありました。

その課題とは、サポート面の表面品質が不均一、さらに丸みのある箇所に発生するわずかな過堆積による処理です。

この問題を解決するために、造形工程を2回に分割し、造形の間に加工パスを追加しました。

さらに、Meltioの位置測定システムが各フェーズの整列を正確にし、内部ブレードへのアクセス性が格段に改善しました。これにより厳密な公差を達成し、造形による課題を解消しています。

金属3D造形におけるメリット

鋳造から金属造形への製造方法の変更は、単に部品のクオリティを改善するだけでなく、製造プロセス全体に最適化をもたらしました。

【主なメリット】

  • 耐久性を備えた部品製造の実現
  • 予備部品のストックを最小化
  • 金型生産が不要

このメーカーのCOLUMN一覧はこちら