高速造形を実現した金属3Dプリンタ「LPMシリーズ」

ソディックが提供する高速造形金属3Dプリンタ「LPMシリーズ」。
既存の加工機と組み合わせて使用することで、切削加工だけでは実現できない形状を作り出すことを可能にした本シリーズ。最大の魅力である高速造形に加え、造形物のサイズやオプションから選択できる2種類のラインナップと、高品質な金属造形を行うための充実した環境を提供します。
今回は「LPMシリーズ」の魅力をレビューします。
Contents
特徴
LPMシリーズの2機種
LPMシリーズには「LPM325S」と「LPM450」の2機種のラインナップがあり、最大造形物寸法や最大積載質量、そして金属粉末を凝固させるために照射するレーザーの基数などが異なります。
〈LPM325S〉 | ![]() |
最大造形物寸法:250㎜×250㎜×250㎜ 最大積載質量:120㎏ レーザー最大出力:500W |
〈LPM450〉 | ![]() |
最大造形寸法:450㎜×450㎜×450㎜ 最大積載質量:720㎏ レーザー最大出力:500w×2基 |
基準面切削機構
金属3Dプリンタによる積層造形は、焼結面の粗さが正確な位置決めを難しくするという課題があります。しかし、「LPMシリーズ」では機上で造形物に対する正確な基準面加工が行えるため、二次工程での段取り性を格段に向上させることができます。
そして正確な位置決めは余肉造形を少なくすることができるので、高価な金属材料を削減できるだけでなく仕上げ工程の時間短縮にも貢献します。

基準面の切削加工は、「LPM325S」ではシェーパー、「LPM450」では小型スピンドルで行います。


SRT(Stress Relief Technology)
ソディック製金属3Dプリンタの特徴的な技術として、積層造形時の応力による造形物の反りや割れ(クラック)の課題を防ぐSRT(Stress Relief Technology)工法があります。
「LPMシリーズ」では、レーザー照射により金属粉末を溶融、凝固させる工程を繰り返して造形を行います。金属粉末は融点で溶け、その後冷えることで固まりますが、冷える過程の温度差によって生じる熱収縮が応力になり、造形物自体が反り上がってしまいます。そして反りは造形物の割れにつながる可能性もあります。
ソディックではこの課題をSRT工法により改善しました。反りや割れにつながる応力が増えすぎる前に簡易的な冷却(熱処理)を行うというアプローチで安定した金属造形を可能としています。

SRT工法は現在、『SUS420J2』と同社のオリジナル金型向け特殊鋼『SVM』の2種類の材料で適用可能な技術となっています。
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特徴的な高速造形のノウハウ
「LPMシリーズ」は、一般的な金属3Dプリンタが一定の造形時間を要するという課題を改善し、高速造形を実現します。そのノウハウが金属粉末を溶融・凝固させるレーザーの基数にあります。
「LPM325S」は、標準で1基のレーザーが搭載されていますが、オプションによりデュアルレーザー(2基)に変更することができます。これにより従来比約2倍の高速造形が可能です。
「LPM450」であれば、標準でデュアルレーザーが搭載されているほか、オプションでクワッドレーザー(4基)に変更でき、1基でのレーザー照射に比べて約4倍の高速造形を実現します。なお、クワッドレーザーは「LPM450」のみのオプションとなっています。

長時間稼働も可能にするユニット
「LPMシリーズ」には長時間の連続自動運転を実現させるためのカートリッジ式のMRS(Material Recycle System)ユニットが1セット標準で搭載されます。
MRSユニットは粉末材料の供給・回収・ふるいを自動で行い、長時間の連続稼働を可能にしています。また複数の粉末を使用する際には、粉末ごとに用意されたMRSユニットの付け替えと造形室内の清掃のみと非常に簡単です。

高品質造形をサポートする豊富なオプション
「LPMシリーズ」は高品質な造形をサポートするための豊富なオプションを取りそろえています。
主に造形中の機械と造形物の状態をリアルタイムに監視し、製品の欠陥や問題を未然に防止・検出するための技術となっています。
✅造形モニタリング 「LPM325S」:オプション 「LPM450」:標準搭載
造形物状態や各部の稼働状態をセンシング技術で常時監視。各データはNC画面で管理でき、造形異常となる要因をモニタリングし、造形不良を未然に防ぎます。
✅リコート監視 「LPM325S」:オプション 「LPM450」:標準搭載
造形不良の未然防止策として、粉末の敷詰め具合をCCDカメラで監視。
✅メルトプールモニタリング 「LPM325S」:オプション 「LPM450」:オプション
造形物のメルトプールと呼ばれる金属粉末の溶融状態の温度を測定し、造形物に異常がないか確認する機能。
✅造形物上面温度測定ユニット 「LPM325S」:オプション 「LPM450」:標準搭載
さらなる安定した造形を実現するために、造形物表面に熱電対を接触させ、検出した温度をNC画面へ表示させる機能。
レーザーの基数を追加させ従来の3Dプリンティングを高速化させたソディックの金属3Dプリンタ「LPMシリーズ」。
多彩なオプション機能は造形における品質を向上させるだけでなく、リスクを軽減し安定した運用を可能にしています。既存の加工機を活用しながら、3Dプリンティングによる新たな価値を持つ製品製造への取り組みをお考えの方は、ぜひチェックしてみてください。