3Dプリンターを活用して、高精度な超精密部品を造形するメリットとは | 造形品も紹介

昨今、電気やバイオテクノロジー、自動車、航空宇宙分野において、小型化デバイスの需要が急増し、サムネイル画像の左※1 のような、マイクロ単位の部品開発に関心が高まっています。3Dプリンターを活用してこのような小さな部品をつくることを「マイクロ3Dプリンティング」または「マイクロアディティブマニュファクチャリング(AM)」と呼びます。マイクロ3Dプリンティングを活用すれば、従来の製造方法では不可能だった形状の極小部品を、より迅速かつ低コストで製造できます。

※1 HD Slateによる新生児の心臓ケアを改善するための小型心臓カテーテル(サイズ比較のためにプッシュピンを利用)

マイクロ3Dプリンティングとは

マイクロ3Dプリンティングとは、マイクロ単位の複雑な部品を製造する技術のことをいいます。マイクロマシニングやマイクロ射出成形のような従来の製造方法と比較し、マイクロ3Dプリンティングの主な利点は、高価な道具や時間のかかる機械加工の工程を必要とせずに、マイクロ単位の複雑な形状をした部品を、高い精度と解像度で製造できることです。さらに、マイクロ3Dプリンティングは、少量生産から中量生産までを得意としており、設計の繰り返しを迅速に行うことができるため、従来の製造方法よりも材料の無駄が少なくなります。

B9 Creations Eite Micro による造形品(サイズ比較のためにサイコロを使用)

マイクロ3Dプリンティングのメリットとデメリット

マイクロ3Dプリンティングには、以下のメリット・デメリットがあります。

メリット

1. 設計の自由度

マイクロ3Dプリンティングでは、従来の製造方法では困難、または複雑な形状をした部品の製造や、複雑な設計が可能です。設計がより容易になったことで、非常に細かい精密部品の製造が可能になるだけでなく、製品開発プロセスでのカスタマイズも実現可能です。

2. 少量生産でのコスト効率

少量生産から中量生産までを得意としており、従来の製造方法と比較して、一般的に費用対効果が高いです。従来の製造方法では、セットアップコストが高くつくことが多く、少量から中量の生産には向いていません。

3. ラピッドプロトタイピング

マイクロ3Dプリンティングは、迅速に試作を何度でも行えます。さらに、新しい道具や長いセットアップ時間を必要とせず、設計の変更を簡単に実装できるため、開発から製造が終わるまでの時間が短縮され、製品開発がよりスピードアップします。

4. 材料の無駄を削減

従来の製造方法では、大きな部品から余分な材料を取り除く引き算的な工程が多く用いられてきました。その結果、余計に材料の無駄が大きくなります。一方でマイクロ3Dプリンティングでは、必要な部分にのみ材料を追加するため、無駄が最小限に抑えられ、材料の利用率が最適化されます。

5. 複雑な組み立て部品の一体化

マイクロ3Dプリンティングでは、組み立て部品を1つの統合部品として製造できます。これにより、組み立てが不要になり、部品点数が削減され、製品全体の信頼性が向上します。

6. オンデマンド製造と在庫管理

マイクロ3Dプリンティングでは、オンデマンド製造が可能です。つまり、必要に応じて部品を製造できるため、過剰在庫を抱える必要がなくなります。これは、コスト削減とより効率的な在庫管理につながります。

7. カスタマイズとオーダーメイド

マイクロ3Dプリンティングは、マイクロ単位でのカスタマイズをより現実的なものにし、特定の顧客の要件を満たすオーダーメイドの製品を可能にします。

8. 必要な場所で生産

社内で3Dプリントを行うことで、長距離輸送の必要性が減り、分散生産が可能になります。

9. リードタイムの短縮

金型が不要なマイクロ3Dプリンティングは、従来の製造方法に比べてリードタイムを大幅に短縮します。また、3Dプリンティングは複数の製造工程を1つの工程にまとめ、生産を合理化し、組み立ての必要性を減らします。このような利点は、時間に制約のあるプロジェクトや、要求が急速に変化する業界にとって特に有益です。

10. 生産個数を自由に調整

マイクロ3Dプリンティングは、需要の変動に合わせて生産量を簡単に調整できます。

デメリット

1. 大型サイズ部品には向いていない

そもそもマイクロ単位の精密な部品を造形するために開発されているため、大きなサイズの造形には向いていません。

2. 材料に限りがある

B9 Creations の Elite Micro※1 は、市販材料に対応しているものの、使用できるメーカー純正材料は3つしかないため用途が限られます。

※1: マイクロ3Dプリンター。詳細は以下をご覧ください。

マイクロ3Dプリンターと造形品

ここでは、マイクロ単位の超精密部品を造形できる3Dプリンター、B9 Creations Elite Micro の概要を紹介いたします。

B9 Creations Eite Micro

B9 Creations Elite Microは、高解像度(20 μm native pixel size XY、10-20 μm Z)、高精度、高い再現性を提供し、マイクロ射出成型部品を上回る超精密部品を造形することができます。38.4 x 21.6 x 127mmの最大造形サイズをもち、複雑な形状にも対応。また、メーカー純正材料以外にも、市販材料を使用することができます。さらに、キャリブレーションは必要なく、付帯設備として自動洗浄装置と後処理装置(硬化)がついてくるため、スムーズなワークフローを提供する非常に使いやすい3Dプリンターになっています。

造形サイズ:38.4 x 21.6 x 127mm

造形速度:1 – 7+ mm / hr

解像度:20 μm native pixel size XY、10-20 μm Z

材料:HD Slate、HD Clear、ABS/PC、市販材料

波長:385 nm

機械サイズ:267 x 420 x 593 mm

B9 Creations Eite Microによる造形品

マイクロ3Dプリンティングは主に、研究や試作で使用されていますが、電気部品からウェアラブルセンサー、埋め込みセンサー、マイクロチップ部品、プリント基板に至るまで、最終部品用途での活躍も増えています。以下は、実際にB9 Creations Eite Micro にて造形された部品です。

遊園地

HD Clearによるマイクロ流体デバイス

HD Clearによる流路サンプル(ピンと比較)

まとめ

本記事では、マイクロ3Dプリンティングの特徴とメリット、デメリットを解説いたしました。単に小さい部品を作れるだけでなく、複雑な形状を造形可能にし、材料の無駄を削減、またリードタイム短縮など、マイクロ3Dプリンティングには様々なメリットがあることがわかりました。

3D Printing Corporationについて

今回の記事は、3Dプリント技術を用いて設計から製造、後加工、品質評価までの一貫したサービスを提供している「株式会社3D Printing Corporation(3DPC)」が執筆しています。

3DPCは、「好きな場所で、好きな時に、作りたいモノを作れる未来へ」をコーポレートスローガンとして、デジタルで既存の製造業のサプライチェーンをかえていくことを目標に、3Dプリントによる技術を活かし、金属・樹脂問わず、設計・開発から、製造、後加工、品質評価まで一貫したサービスを提供しています。

また各々の人に適した機器のご紹介、導入、修理、メンテナンスのサポートといった専門的かつ包括的な業務を提供しています。3DPCは、3Dプリント技術を活用した内外製品の高付加価値化や、納期の短縮、コスト削減の実現に貢献し、皆さまが必要なものをいつでもどこにいても製造しながら発展していける未来を目指しています。

3DPCのサービスにご興味のある方は、是非一度お問い合わせください。

・3DPCサービスの詳細

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3DPCでは、今回ご紹介したB9 Creations Elite Micro の受託製造および販売をしております。さらにB9 Creations Elite Microについて詳しく知りたい・興味がある、という方は、ぜひ3DPCへお気軽にご相談ください。

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・メール経由:info@3dpc.co.jp

また、B9 Creations Elite Micro のほかにも、3Dプリンターへの具体的なイメージが持てるように、各種3Dプリンターや造形品を実際に見て触ることができる工場見学を開催しております。ご興味のある方は是非お問い合わせください。

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