The 金型辞典② 製品を設計する
前回の「The 金型辞典」では金型の構造と歴史についてご紹介しました。古代から使われていたという深い歴史をもつ金型は、時代とともに技術の進化を遂げてきました。
今回は金型製作において最初のステップとなる「製品設計」について解説していきます。
まずは「製品デザイン」からスタート
金型を作る上で、まず必要になるのが「製品デザイン」です。
デッサンで書かれた内容をもとに、3次元CADを使って立体的なモデルを作っていきます。
では、実際の製品デザインについて、キカイカタログ運営元のテクトレージが開発・提供している「USB-RS232C for NC」を例に見ていきましょう。
【パーツ別モデル】
【アセンブリ(それぞれのパーツを組み立てて製品に)】
製品デザインが決定したら、その後の作業において最も重要となる「製品仕様」を検討していきます。
非常に重要!「製品仕様」を検討する
「製品仕様」は、デザインした製品の品質を確保しながら製造を成功に導く上で非常に重要なものであり、適切に管理する必要があります。
主に製品に関する設計情報・機能・性能・材料・寸法・品質基準が記述されています。
技術的な要件を盛り込んだ「製品データ」
「製品データ」は、製品仕様や技術的な要件が含まれたデータです。
先ほど説明した「製品仕様」、そして「製品データ」は以降の作業工程における基準となります。
製品設計における重要性
ひと言で「設計」と言っても、そこにはデザインや仕様、技術的な要件など様々な要素が含まれています。そして設計工程は製品の機能性や製品寿命、コスト、生産性を決定づける重要な基盤となっており、市場での競争力を高めるためにも非常に重要視されます。
顧客ニーズを的確に反映し、ユーザビリティやデザインも考慮された製品でなければ顧客満足度は得られません。ここをアバウトにしてしまうと無駄なコストが生じてしまい、企業にとって大きなロスに繋がります。
まとめると、
・良いデザインは魅力的で実用的な製品として、ブランド価値を高めます。
・優れた製品仕様は品質と性能を高め、一貫性のある製品を製造するためのガイドラインとなります。
そして製品の品質が維持され信頼性が高まると同時に、製造プロセスを効率化し、コストを最適化す
るのに役立ちます。
・優れた製品データは製造プロセスと品質管理を効率化できるため、品質上の問題の早期発見
や製品の改善に寄与し、顧客満足度を高めることができます。
このように、質の高い製品設計は製品のライフサイクル全体に渡って利益を最大化し、ブランドイメージの構築にも寄与します。製品設計の良し悪しは事業の成否に直結するため、競争が激化する現代の市場環境において製品設計はますます重要視されるプロセスであると言えるでしょう。
「The 金型辞典」第2回は製品設計を中心に紹介いたしました。次回は「設計した製品形状を3Dプリンターで確認する」についてお届けいたします。
本コラムでは今後も金型にまつわる様々な情報をお伝えしていきます。ぜひご期待ください。