金属積層造形と切削加工を1台のマシンで実現!ハイブリッド金属3Dプリンター「Meltio Engine CNC」

スペインの金属3Dプリンターメーカー、Meltio社が提供する「Meltio Engine CNC」。高い造形力を持つ金属積層ヘッドをマシニングセンタの主軸に組み込む形で使用するという、新しい発想を具現化した金属3Dプリンターです。

航空宇宙用のワーク製造から各種金型の造形や補修など、ますます活躍する分野が広がる金属3Dプリンター。今回はMeltio社の金属3Dプリンタシリーズ第三弾、「Meltio Engine CNC」をレビューします。

特徴

金属3Dプリンターとマシニングセンタが一体化

「Meltio Engine CNC」は、既存のマシニングセンタの主軸に専用の金属積層ヘッドを取り付けることで、金属3Dプリンターとしての運用を可能とした画期的なソリューションです。金属積層造形と切削による最終仕上げを1台のマシンで実現するハイブリッド機として活躍します。導入コストの面においても、一般的な金属3Dプリンターと比較して優位性がある点も特長です。

金属積層において、高い精度が求められる製品の場合は造形後に後加工が必要となるケースが大半です。「Meltio Engine CNC」では積層造形によってニアネットシェイプ(完成品に近い状態)の形状を作り出し、切削加工によって仕上げることで高精度な完成品を得ることができます。すべての工程を1台のマシンで行うため、リードタイムの大幅な短縮も期待できます。

造形方式はコスト面に優れた「DED方式」

「Meltio Engine CNC」の造形方式は「DED方式(デポジション方式)」を採用しています。これは金属製のワイヤーをレーザーで溶かしながら1層ずつ積層造形していく手法です。他の造形方式と比べて、圧倒的な造形スピードを有している点が大きな特長となっています。

「DED方式」の中でも材料に金属製のワイヤーを使用することから、正確には「ワイヤーDED方式」という造形方式となります。使用できる材料は幅広く、ステンレスやチタン、インコネルなどの様々な金属材料に対応。純正品はもちろん市販の溶接用ワイヤーも材料として使えるため調達もしやすく、かつランニングコストが抑えられるという点も大きなメリットです。

PRポイント

独自のコンパクトな積層ヘッド

「Meltio Engine CNC」の造形技術はコンパクトな積層ヘッドに集約されています。この積層ヘッドが造形中のフィードバック制御により、安定した金属の積層造形を実現しています。

※「メルトプール」・・・レーザが当たった部分の金属が溶融・液状化して形成される領域です。

バイメタル造形にも対応

「Meltio Engine CNC」では様々な溶接用ワイヤーを材料として使用できますが、2種類の異なる材料をを使って1つの製品を造形するバイメタル造形が可能です。それぞれの金属材料が持つ性質を組み合わせることで性能や腐食性の向上やコスト削減などの様々なメリットが得られます。

国内大手メーカーのマシニングセンタへの搭載を実現

かつては特定メーカーのマシニングセンタに対する実績のみだった「Meltio Engine CNC」。
そこで「キカイカタログ」運営元であるテクトレージでは、Meltio製品の国内総代理店である3D Printing Corporationと共に、国内大手メーカーの30番マシニングセンタへの「Meltio Engine CNC」搭載にチャレンジ。2023年の年末より運用を開始いたしました。

国内での実機展示はテクトレージ本社ショールームのみとなります。金属積層造形と切削のリアルなハイブリッド加工をぜひ一度ご覧ください。

これまでの金属加工の概念を一変させる可能性を秘めた金属3Dプリンターですが、本体や材料費が高額というイメージがどうしてもつきまといます。「Meltio Engine CNC」は初期費用とランニングコストの両面でこうしたイメージを払拭。金属3Dプリンターの導入をより身近にしてくれます。ぜひ、「Meltio Engine CNC」を活用し、一歩先を行く製造プロセスを構築しましょう。